そっ)” の例文
新字:
わたくしはそっと眼をあげてうかゞいますと、奥様は真蒼な顔をして、口脣くちびるをしっかり結んで、たゞ黙って坐っておいでになりました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
はっともすそらして、取縋とりすがるように、女中の膝をそっと抱き、袖を引き、三味線を引留めた。お三重の姿は崩るるごとく、芍薬しゃくやくの花の散るに似て
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すぐに奥様にそのお話をして、それから自分の部屋へ退ってお朝にもそっと耳打ちを致しますと、お朝はなぜだかいやな顔をしていました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
祖母としより莞爾にっこりして、嫁の記念かたみを取返す、二度目の外出そとではいそいそするのに、手をかれて、キチンと小口こぐちを揃えて置いた、あと三冊の兄弟を、父の膝許ひざもとに残しながら、出しなに、台所をそっのぞくと
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
照之助は黙ってそっと這入って来ましたので、わたくしは探りながらその手をって、お居間の方へ案内してまいりました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と、そっと痛そうに胸をおさえた。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女房がそっにらんで
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)