くど)” の例文
私が炬燵の中で——母と私とが一緒に寝る広い寝床の中で——目をさますと、母は既に起き出でてくどの前で飯を炊いていた。
私の母 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
福浦のあたりは、浜ひろがりに、石山の下を綺麗な水が流れて、女まじりに里人が能登縮のとちぢみをさらしていて、その間々あいあいくどからは、塩を焼く煙がなびく。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幾ばくの落葉にかあらむ掃きよせてくどには焚かず庭にして焚く
長塚節歌集:3 下 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私が何か言うと、「起きたかな、お目ざましをあぎょう」と言って母はくど熱灰あつばいの中に埋めておいた朝鮮芋を取りだして、その皮をむいて持って来てくれた。
私の母 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
しめりたる松葉をくどに焚くけぶり糸瓜の花にまつはりてけぬ
長塚節歌集:3 下 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)