稀薄うす)” の例文
さういふてん世界せかいにとゞくやうな、空気くうき稀薄うすいところでは、あれあれといふもなく、千ねんぐらゐ年月としつきながれてしまふさうだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
氏の全身に残っている生命いのちは一努力ごとに弱くなり、一あえごと稀薄うすくなって行った。あたかも室内に籠っている煙がいつの間にか消え失せてしまうように、殆んどあるかないか判らぬ位になってしまった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)