神詣かみもう)” の例文
しかも二人の縁は切れないで、お近は柳島へ行った後も寺参りや神詣かみもうでにかこつけて、ひそかに佐藤と逢曳あいびきを続けていた。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
帽子が飛ぶから、そのまま、藤屋が店へ投返した……と脊筋へはらんで、坊さんが忍ぶように羽織の袖が飜々ひらひらする。着換えるのも面倒で、昼間のなりで、神詣かみもうでの紋付さ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近国に住む良家の者の、神詣かみもうでか仏参か。徒然つれづれの春の旅か。そんなふうに見うけられる。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊魂ゆうこん今もさまようて、夜な夜な神詣かみもうでをするといういいつたえが残る。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神詣かみもうでなどに参りまして、貰っただけの小遣いはそれだけ綺麗に使って来たもので……それも自分のためというよりは、何んでも、江戸の名物と名のつくものを買って来て、家のものにお土産みやげにして