神算鬼謀しんさんきぼう)” の例文
たねをあかせば、これは呉用軍師の神算鬼謀しんさんきぼうで、初めからこの一戦で勝つ気はなく、過日らい、さんざんな砲撃に悩まされた結果
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガラッ八は喫驚びっくりしました。五日籠っていた平次の神算鬼謀しんさんきぼうが、日本中の大泥棒の巣を、叩き潰すまでに運んでいたのです。
いずれは常人の思いも及ばぬ神算鬼謀しんさんきぼうを以て、一挙にして怪賊の正体をあばき、その連類を一網打尽し、相川青年に今度こそはと誓った、品子さん保護の任を果すべく
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
魯粛はゆうべから孔明の智謀をさとって、今はまったく、その神算鬼謀しんさんきぼうに、ただただ舌を巻いて心服するのみだった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五日籠つてゐた平次の神算鬼謀しんさんきぼうが、日本中の大泥棒の巣を、叩き潰す迄に運んで居たのです。
いかなる神算鬼謀しんさんきぼうがあるのか、明智はますます大胆不敵である。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(秀吉の師たりまた、世に聞ゆる神算鬼謀しんさんきぼうの士、どんな策を構え、どんな雄弁をふるって、われを説かんとするか?)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右府様がまた例の神算鬼謀しんさんきぼうをもって、わたくしが所持の牧谿もっけいの一幅を、召し上げようとなされていられる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにはやり給うか酒井どの、秀吉ほどな神算鬼謀しんさんきぼうに富むものが、いかに取りいそいで発向したとは申せ、あとの本営に、守りも得ぬほどな将士をのこさずに参ろうか」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵を用いるや神算鬼謀しんさんきぼう、敵をあざむくや表裏不測ふそくでありながら、いくさを離れて、その人間を観るときは、実に、ともいえるほど正直な道をまっすぐに歩いた人であった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸葛亮しょかつりょうあざな孔明こうめい、また道号を臥龍先生と称して、かみは天文に通じ、しもは地理民情をよくさとり、六韜りくとうをそらんじ、三略さんりゃくを胸にたたみ、神算鬼謀しんさんきぼう、実に、世のつねの学徒や兵家ではありません
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかしは、柴田殿といえば、鬼ともいわれ、神算鬼謀しんさんきぼうの大将ともいわれたか知らぬが、今日となっては、北ノ庄殿の戦法も、すべてのおさしず振りも、はや時勢にわぬお古い頭となっておる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)