祕密ないしよ)” の例文
新字:秘密
藥嫌ひで醫者が呉れた藥さへ二度に一度は祕密ないしよで棄てたほどなのに、今の場合父の常用の消化藥をさへ手頼りにする氣になつた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
貴方あなた祕密ないしよが、わたしにはれましても、お差支さしつかへのないことをおらせまをしませうか、——あんま御心配ごしんぱいなすつておいとしいんですもの。眞個ほんとに、殿方とのがたはおやさしい。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だから、旅行のことは私とお前との間ぎりで祕密ないしよにしといてお呉れな。先日こなひだ先方の男に會つてよくよく話をして見ると、物分りのいゝそれはやさしい男なのだよ。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
他言たごんしては不可いけない、ごく祕密ないしよに、とふやうなことなんですわね。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼處あしこぢやまだ祕密ないしよにしてるやうだけど、おら、昨日きのふ確かなところから聞き込んだのさ。よつちやんがその息子さんに見染められたといふことだが、女は容色きりやうのいゝのが何よりだ。大した仕度金が出るつてことだよ。」
玉の輿 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)