碧々あおあお)” の例文
秋の空の碧々あおあおと澄んだ彼方の馬見所のグラウンドの上には、黄いろいほこりの虹が幾すじも立っていた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼の下はるかの下界に当たって、碧々あおあおたたえられた大湖水、すなわち諏訪すわの湖水であって、彼方かなたの岸に壁白く石垣高くそびえているのは三万石は諏訪因幡守いなばのかみの高島城の天主である。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
またそうした、恋の絵巻の染めいろを、自分のまゆ碧々あおあおとした眼に映してみると、その対照の香り不思議な色合いに、われともなくフローラは、美の泉を見いだしたような気がした。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「きれいな空ですこと、碧々あおあおして、本当に小袖こそでにしたいようでございますね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)