石斑魚うぐい)” の例文
きのこだの、肉饅頭だの、早焼麺麭パンだの、パイだの、薄焼ブリンだの、いろんな物を入れた厚焼レピョーシカ、例えば葱を入れたり、芥子を入れたり、凝乳を入れたり、石斑魚うぐいを入れたり
石斑魚うぐいか、たなびらか、それに木ささげ、竹の子、菊豆腐のたぐいであるが、山家にいてはめずらしくもない河魚や新鮮な野菜よりもやはり遠くから来る海のものを差し上げたら
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鮎どき、石斑魚うぐい時、また鱒や鮭の季節も、そこをと潜りすればよかったほど、いつも捕れた。それは、それからさきの上流へ登るために鮎や鱒がしぜん溜るようになっているのである。
(新字新仮名) / 室生犀星(著)
石斑魚うぐいが飛んでも松葉が散っても、そのまま直ぐに、すらすらと行方も知れず流れよう、それをしばらくでも引留めるのは、ただちっとも早く幕を開ける外はない、と松崎の目にも見て取られた。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石斑魚うぐいのこれんぱかしのは無いかい。」
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
そこは、用水から余った瀬尻せじりが深く水底を穿ってどんよりと蒼蒼しい淵をつくっていた。鮎や石斑魚うぐいなどを釣る人が、そこの蛇籠じゃかごしゃがんで、黙って終日釣り暮すのを見受けることがあった。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)