着類きるい)” の例文
夕刻より着類きるい三口持ちて本郷いせ屋にゆき、四円五十銭を得、紙類を少し仕入れ、他のものを二円ばかり仕入れたとある。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
清「是はうも恐れ入ります、残らず拝借致しても他の物と違いまして、瀬戸物や塗物はきずを付けた位で済みますが、着類きるいは着れば切れるもので」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今私の前に腰かけている河野自身の古ぼけた手提てさげ鞄で、その中には恐らく数冊の古本と、絵の道具と、幾枚かの着類きるいが入れてあるに過ぎないその鞄を
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
某氏はまた斯様こんな話をした。亡くなった彼女は、思い切った女であった。人の為に金でも出す時は己が着類きるい質入しちいれしたり売り払ったりしても出す女であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
部屋いっぱいに並べられた着類きるいや、手まわりのものなどを大きな柳行李やなぎごうりに入れたり、またそれを取り出してつめかえたりしているお母さんのそばにつっ立って、健はふくれかえっていた。
大根の葉 (新字新仮名) / 壺井栄(著)