着手きて)” の例文
其頃そのころ着手きての無いインパネスのもう一倍いちばいそでみじかいのをて雑誌を持つてまわる、わたしまたむらさきヅボンといはれて、柳原やなぎはら仕入しいれ染返そめかへしこんヘルだから、日常ひなたに出ると紫色むらさきいろに見えるやつ穿いて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ここに起臥おきふしする無法者の乾児こぶんが、手拭だの、着替えだの、火事頭巾だの、襦袢じゅばんだのを雑多に釘へ掛けつらね、中には、誰も着手きてのいるわけがない、紅絹裏もみうらのあでやかな女小袖なども掛け
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)