真竹まだけ)” の例文
真竹まだけ孟宗もうそうの類は、この地方には十分に成長しません。でも、細い竹のやぶがありまして、春先にはそこから細い竹の子が頭を持ち上げます。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
落葉らくようを一パイに沈めた泉水に近く、樫と赤松に囲まれた離れ座敷は、広島風の能古萱葺のこかやぶき網代あじろの杉天井、真竹まだけ瓦の四方縁、茶室好みの水口を揃えて、青銅の釣燈籠、高取焼大手水鉢の配りなぞ
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さて、烏帽子直垂の祭主のみは、うやうやしく笏を構えて、祭壇に向って黙祷をらしているが、祭壇の彼方かなたには、神も、仏も、そのほこらも、社もおわしまさない。ただ一むら、真竹まだけ竹藪たけやぶがあるばかりだ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)