真澄ますみ)” の例文
旧字:眞澄
同じ習わしは秋田全県にわたって、もう百五十年も前からこの通り行われていたことは、真澄ますみ翁の多くの日記にも見えている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
五月四日という夏も初め頃の真澄ますみの空に、ばくばくたる馬けむりや炎が立ったのを見て、坂東平野に住む、多分に原始的性格をもつ人間たちが
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真澄ますみはその晩も台所へ往って、酒宴さかもりの後しまつをしているじょちゅうから、二本の残酒のこりざけと一皿のさかなをもらって来て飲んでいた。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白骨の温泉の一室で、池田良斎と、北原賢次とが、「真澄ますみ遊覧記」というのを校訂していると
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いいえ、真澄ますみさんのことでおうかがいしたのです」
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その年麻疹ましんを病んでその子は死んだと、真澄ますみの奥州の紀行の中に書いてある。郭公かっこうは時鳥のめすなどという俗説もあるが、これがまた同じように冥土めいどの鳥であった。
ゆくては、本願の彼岸ひがん、波も打て、風もあたれ、ただ真澄ますみ碧空あおぞらへわれらの道はひとすじぞと思うてすすめ、南無阿弥陀仏なむあみだぶつの御名号のほか、ものいう口はなしと思え。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)