真心まごゝろ)” の例文
旧字:眞心
斯の飾りの無い一行の光景ありさまは、素朴な牛飼の生涯にく似合つて居たので、順序も無く、礼儀も無く、唯真心まごゝろこもる情一つに送られて、静かに山を越えた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今、僕たちは、久々で会つて、非常にむつましい話をしてると思つてるんだ。そこで、この先生の真心まごゝろが、次第に僕のきずついた心を捉へ、僕はまた再び生きる悦びを感じはじめた。
昨今横浜異聞(一幕) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
と路銀まで出しまして、義理を立てぬく母の真心まごゝろ流石さすがの二人も面目めんぼくなく眼と眼を見合せ
此のうちの介抱は皆お繼が致して遣りますが、女で親の敵を討とうと云う位な真心まごゝろな娘でございますから、赤の他人の山之助をば親身の兄をいたわるように、寝る目も寝ずに親切に介抱を致します。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)