相対死あいたいじに)” の例文
旧字:相對死
夫の嫉妬や外界のいろいろの圧迫に堪え兼ねて、到頭とうとう相対死あいたいじに」の道を選んだことが、実によくわかるのでした。
心を一つにした相対死あいたいじにに相違ござんすまいが、今様お半長右衛門だなんて、悪口を言っていたものがありました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今もなお箕輪心中みのわしんじゅうと世に歌われる藤枝外記ふじえだげき、また歌比丘尼うたびくに相対死あいたいじにの浮名を流した某家のさむらいのように、せめて刹那せつなうるわしい夢に身をはたしてしまった方がと
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
法律の力で心中しんじゅうの名を相対死あいたいじにと呼び替えても、人間の情を焼き尽くさない限りは何の防ぎにもならなかった。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ほか理由わけがあるならとにかく、相対死あいたいじにの仕直しをやらかす陽気じゃねえ、たいがい大丈夫だろう」
「心中? 相対死あいたいじにですか」
なれとおっしゃればなりますが、その代りあっしの素姓は明るみにさらされて、娘は死ぬほど焦がれても、増屋の嫁になれっこはありません——相対死あいたいじにを助けて貰っても、一人死を
相対死あいたいじに
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
提灯ちょうちんと釣鐘ほどの違いで、まとまりそうもない縁談でしたが、無理に割けば、相対死あいたいじにもやり兼ねまじき若い者の情熱に引摺られたのと、娘可愛さの与次郎の必死の運動が効を奏して
相対死あいたいじに(心中)のやり損ねですよ、親分」