相半あいなかば)” の例文
茶室の隣の三畳に反古張ほぐばりふすまが二枚立ててある。反古は俳文の紀行で、文字と挿画さしえとが相半あいなかばしている。巻首には香以散人の半身像がある。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「そんなにこちらの言葉を御信用がないならば、二つの鼎をならべて御覧になったらば如何いかがです」と一方はいったが、それでも一方は信疑相半あいなかばして
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
抑も苦楽相半あいなかばするは人生の常にして、ここに苦労あれば又随て歓楽あり、苦楽平均して能く勉め能く楽しみ、以て人生を成すの道理は記者も許す所ならん。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
また女のヒステリイというものも生理的に原因する所と無智から起す感情の我儘とが相半あいなかばしているのであって
婦人改造と高等教育 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
書類の多くは公用のもの、手紙は公用と私用とが相半あいなかばするくらいでありました。それらを一通り処理してしまったあとで、能登守が興味を以て書く手紙が一つありました。
追憶と期待との相半あいなかばした、甘いおぞましい不安が、どこかの海岸でじっと気ままにねころんでいたい、せわしなく見物して歩く観光客のまねなんぞせずにすませたい、という願望と一緒になって