百川ひゃくせん)” の例文
百川ひゃくせん君は譚海たんかいの作あり、倶に奇事異聞を記述せるものにて文章の巧妙なる雕虫吐鳳ちょうちゅうとほう為に洛陽らくようの紙価を貴からしめしも、余を以て之を評さしめば
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
静枝には海老茶袴えびちゃばかまをはかせて玄関番をさせ、神田小川町の依田百川ひゃくせん——学海がくかい翁のところへ漢学をならわせにやるのだった。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
多恨多情の八方睨はっぽうにらみに大方の君子を殺して黄金こがねの汁を吸取ること長鯨ちょうげい百川ひゃくせんを吸うがごとし。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨日きのう文三にいじめられた事を、おまけにおまけを附着つけてベチャクチャと饒舌しゃべり出しては止度とめどなく、滔々蕩々とうとうとうとうとして勢い百川ひゃくせんの一時に決した如くで、言損じがなければたるみもなく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)