白粥しらがゆ)” の例文
七日の朝はこの土地では白粥しらがゆに豆を入れたもので、七草をはやすというのはいろいろの食器を俎板まないたに置いて、それをマワシ木(擂木)でたたくことであった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
物代ものしろは何なりと与えるが、従者どもに朝糧あさがてを。また、おあるじには、白粥しらがゆなとさし上げて給わるまいか
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日ごろ出入りの百姓たちは集まって来てかまどの前で働くものがある。倉から勝手口へ米を運ぶものもある。おまんやお民までが手ぬぐいをかぶりたすきがけで、ごく難渋なもののために白粥しらがゆをたいた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女中達にはおいしい肉のおかずをして遣って呉れと加奈子にねだりながら、自分は幾日でも白粥しらがゆを喰べ続ける。白粥に青菜を細かく刻んでかけて喰べるのであるが、加奈子もそれにつき合わされる。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ああ美味うまかった。だが水ではなかったと、腹の虫は泣いている。……夜来、酒のほかなにも食べていなかったからな。湯漬けでもよい。いやあたたかな白粥しらがゆならなおいいぞよ。はやく膳のしたくを