登別のぼりべつ)” の例文
本稿は、この種の洞窟にまつわる伝承資料を先ず紹介し、あわせて登別のぼりべつのアフンルパㇽの踏査の結果を報告しようとするものである。
訛りはあつたが、節廻しに些か哀調のあつた音曲師の文廼家ふみのやかしくが北海道登別のぼりべつ温泉の結構雄大に瞠目して
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
有珠うす登別のぼりべつ音威音府おといねっぷ名寄なよろと言った、いずれも深々しんしんと雪に埋もれて眠ったような町々ばかり、今にもまた降り出しそうに重苦しく垂れ込めた灰色の空の下を
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
船長は、室蘭から少し内地へはいった登別のぼりべつという温泉地へ、室蘭碇泊ていはく中は必ず泊まり込んでいた。そこには、彼の妻や子供の代わりに、彼の愛妾あいしょうがいるのであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
定山渓じょうざんけい登別のぼりべつもどこも見ず、アイヌにも熊にも逢わないで帰って来た。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それに、大將が、あす、或事業の相談で登別のぼりべつ温泉まで行くので、そこまでまはつて呉れと云ふし。室蘭線へまはつて、そんなことをしてゐれば、青森を出るのが、どうしても、あさつての晩になる。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
自動車にて、札幌を経、登別のぼりべつ温泉行き。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
明朝一番で船長は登別のぼりべつの温泉から、その愛人と別れて、一番の列車で室蘭へ帰って来るはずであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)