痴夢ちむ)” の例文
旧字:癡夢
揚州十年の痴夢ちむより一覚する時、ち得るものは青楼せいろう薄倖の名より他には何物もない。病床の談話はたまたま樊川はんせんの詩を言うに及んでここに尽きた。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼はまた、その肥大強健な体におごるかのように、日夜貂蝉ちょうせんと遊楽して、帳裡ちょうり痴夢ちむくことを知らなかった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日も二階で逢曳あいびきの痴夢ちむうつつなかった男女ふたりには何ともやさしい仰天ではなかったらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)