ちょう)” の例文
武蔵は幼少の頃、頭にちょうという腫物はれものを病んだことがある。そのため月代さかやきると醜いといって、生涯、ひたいを剃らずに、髪はいつも総体そうたいに伸ばしていた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはそのわたくしが懇意にいたします近辺に医者がございまして、その医者がどうも其の薬を……薬は一体毒なもので、ようちょう根太ねぶと腫物はれもののようなものにけます、膏薬吸出しのようなものは
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またよく見ると、その毛の根には、大きなきゅうあとみたいな古傷がある。幼少の時に病んだちょうという腫物できもののあとで
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭の脳天に——ちょうど月代さかやきの辺にちょうという腫物できものわずらって、今でもあざのような黒いあとを残しているので
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「子どものとき、つむりに、ちょうという腫物はれものをわずらったことがあって、月代を剃ると、そのあとが醜いから、髪をやしておくのだと、いつか私に話したことを思い出したの」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、京都の山科やましなとかへ移るつもりで、荷拵にごしらえまでしているが、先月頃から、左の腕にちょうんで大熱を発したらしく、まだ、赤穂の城下から少し離れた尾崎村の八助の家で療治しておる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)