畑打はたうち)” の例文
「ちかよりて見れば」という言葉は、わざわざ近寄って見る場合にも用いられるが、この際は作者の歩いている足が自然と畑打はたうちに近づくのである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
時候は立春、暮春ぼしゅん余寒よかんあたたかうらら長閑のどか日永ひながの類をいふ。人事は初午はつうま二日灸ふつかきゅう涅槃会ねはんえ畑打はたうち雛祭ひなまつり汐干狩しおひがりの類をいふ。天文は春雪、雪解、春月、春雨、霞、陽炎かげろうの類をいふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あるいは又松尾の部落の山畑に、むこと二人で畑打はたうちをしていた一老翁は、不意に前方のヒシ(崖)の上に、見事なお曼陀羅まんだらの懸かったのを見て、「やれ有難や松※尾の薬師」と叫んだ。
幻覚の実験 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
俳句に畑打はたうちといふ題が春の季になり居る事心得ず、畑を打ち返すは秋にこそあれ、春には畑を打ち返す必要なきなり、もし田を打ち返す事ならばそれは春やや暖くなる頃に必ずするなり、云々。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)