田疇でんちゅう)” の例文
ここで、野村という所の地形を言っておくと、前後が岡になっていて、その中間十町ばかりが低地であり、左右田疇でんちゅうに連っている。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
米友がくだん田疇でんちゅうの間を、木柱をかつぎながら、うろついて行くと、楊柳の多いところへ来て、道がハッタと途切れて水になる。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その中には田疇でんちゅうと、山林と、道路と、家屋とが散在して、人々は各〻その或る部分を私有し、田園の整理と平安とにいそしんでいる。他人の畑を収穫するものは罪に問われる。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
くつわを執っていた子貢が、いまだ子路を見ずしてこれを褒める理由を聞くと、孔子が答えた。すでにその領域に入れば田疇でんちゅうことごとく治まり草莱そうらい甚だひら溝洫こうきょくは深く整っている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
道の案内には、もと袁紹の部下だった田疇でんちゅうという者が立った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて二人は相前後して、路を裏に取り、教えられた通り、天王山の千鳥塚をさして行くべく、田疇でんちゅうの間の並木の中に身を隠してしまいました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今日の黄昏たそがれ、宇治山田の米友が、一本の木柱ぼくちゅうをかついで田疇でんちゅうの間をうろついているのを見た人がある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)