甥御おいご)” の例文
「もし……。まことに、往来中で失礼でございますが、もしやあなた様は、明智光安様の甥御おいご様ではいらっしゃいませぬか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とんだことでしたね。——ところで、殺された甥御おいごの梅吉さんとかが、なんだって囲いの中へ入っていたんでしょう」
念を入れて仕上げてくれ、近々にその後室様が、実のよりも可愛がっておいでなさる、甥御おいご一方ひとかた。悪い茶も飲まずに、さる立派な学校を卒業なされた。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
印刷所の戸を開けると上端あがりがまちにストーブがあって、二人の人がちょうど一服しているところであった。介山居士の甥御おいごさんに当る村木さんと田中澄徹さんであった。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
「俺は初めの中、あなたを大谷さんの甥御おいごさんだとばかり思っていましたが、二三年前に泥棒が入った時の新聞で分りました。書生安達の談と出ていましたから」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
いまの住職は、しかるべき方の甥御おいごさまで、ことに学問もふかく修行も積んでいるという評判が高く、この国の人々は、香華や蝋燭の御布施をあげて信仰いたしました。
甥御おいごさんとお知合いになれまして、私は大いによろこんでいます」
火夫 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
「お頭目かしらッ。お頭目ッ。——甥御おいごの天蔵どのが、番の者を斬りすてて、逃げたと申しますぞッ。天蔵どのが逃げましたぞ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かかうどの浅井朝丸様、殿様の遠い甥御おいごじゃ、これは二十七歳、文武の心得もある」
「あ、そうか。そうでおざるか。近衛家このえけの御用人松尾殿の甥御おいごであらっしゃるか。松尾殿は、わしもよう存じ上げておる」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庄司の家の瑕瑾かきんとも相成ること、一日も早く林太郎様を勘当し、甥御おいご様の助十郎様を御家督に直し、御主人様には御隠居の上、ゆるゆると御養生遊ばしたいとっての御望みでございます
「てまえは、上州下仁田しもにたの、草薙くさなぎ家の家来でござる。草薙家の亡主天鬼様は、鐘巻かねまき自斎先生の甥御おいごでござった。——で、小次郎どのとは、御幼少から存じておるので」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「当家の甥御おいごとわかれば、仔細はない、はやく、その縄目を解いてやれ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この母には、甥御おいご。……ですから、私には、いとこに当るお方です」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「えっ、甥御おいごですか、この男は……。はアて、こんな股旅者またたびものが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おおそうか。ではこのお子は、要人殿の義理の甥御おいごか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甥御おいごさまにも、御一緒にお越しなされました」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほ、甥御おいごの十兵衛様から?」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)