瑞西スヰス)” の例文
妹の方は顔を赤くして話す様な内気な娘だが、瑞西スヰスで棒の様な垂氷つらゝを見たことなどを語ると姉の方が其れを訳して聞かせた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
瑞西スヰス商人あきんどがあつた。これまでおもに独逸から商品を輸入してゐたが、先日こなひだの事かねて取引をしつけてゐる独逸の註文取が久し振にすつと店に入つて来た。
瑞西スヰスの山色をも見せず、伊太利の古蹟にも心を留めさせず、中頃は世を厭ひ、身をはかなみて、はらわた日ごとに九廻すともいふべき慘痛をわれに負はせ、今は心の奧に凝り固まりて
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ドリヷルが「先年瑞西スヰスのベルンの旅先で偶然マネの絵の掘出物ほりだしものをしてわづか四十フランで買つて来たが、ある手筋の人に望まれて三万四千フランで手放した」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
この恨は初め一抹の雲の如くわが心をかすめて、瑞西スヰスの山色をも見せず、伊太利イタリアの古蹟にも心を留めさせず、中頃は世をいとひ、身をはかなみて、はらわた日ごとに九廻すともいふべき惨痛をわれに負はせ
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
僕は往復二ヶ月間の割引二等乗車券を買つて伊太利行イタリイゆきの汽車に乗つた。仏蘭西フランスから瑞西スヰスはひるとう真冬の景色で枯残つた菊の花に綿わたの様な雪が降つて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)