獄中ごくちゅう)” の例文
其の説くところ、まさに太祖の思えるところに反すれば、太祖甚だ喜びずして、居升を獄中ごくちゅうに終るに至らしめ給いぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
獄中ごくちゅう、彼は小袖の袂を噛みやぶったこともある。血は煮え肉はうずき、あわれもののふを知らぬ大将よと、信長の無眼無情をうらみつめた幾夜もあった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国賊こくぞくにされ、刑務所けいむしょにつながれた稲川先生は、ときどき獄中ごくちゅうから、ありのようにこまかい字の手紙を教え子によせるということだったが、なんの変わったこともないありきたりの手紙も
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
獄中ごくちゅう述懐じゅっかい(明治十八年十二月十九日大阪未決監獄において、時に十九歳)
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
今は獄中ごくちゅうにつながれているはずの、希代きだいの宝石泥棒です。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)