にわか)” の例文
すなわ曹国公そうこくこう李景隆りけいりゅうに命じ、兵を調してにわかに河南に至り、周王しゅく及び世子せいし妃嬪ひひんとらえ、爵を削りて庶人しょじんとなし、これ雲南うんなんうつしぬ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この時まで主人のあと温和おとなしいて来たのトムは、にわかに何を認めたか知らず、一声いっせい高く唸って飛鳥ひちょうの如くに駈け出した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
敵は血にみたる洋刃をふるって、更に市郎を目がけて飛びかかって来たが、眼前めさきあだかも燐寸の火がぱっと燃ゆるや、彼は電気に打たれたように、にわかに刃物をからりと落して、両手で顔をおおったまま
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)