狒々ひゝ)” の例文
こんな清潔な娘が、十九やそこ/\で、狒々ひゝのやうな五十男の玩具になつてゐることに、平次は十手捕繩を離れて義憤を感じます。
おゝ、ふねいたは貴様きさまだな。それろ、それろ。うぬ魔物まもの山猫やまねこか、狒々ひゝか、きつねか、なんだ! 悪魔あくま女房にようばううばつたやつ。せめて、おれに、正体しやうたいせてくれ。一生いつしやう思出おもひでだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一昨日をとゝひの晩だつたかしら、和蘭屋敷で。あそこにはそれはほしいものがうんとあつてよ。あいつ等は狒々ひゝだから、妾達がほしいと云へば垢だらけの襦袢とだつて何でも交換してくれるわ。此指輪だつてさうよ。」
ね、親分、神樂坂かぐらざか小町と言はれた、十九になつたばかりの娘が一人、人身御供にあげられて、狒々ひゝ見てえな野郎のなぐさみ物にされかけて居るんだ。