犬神いぬがみ)” の例文
迷信は地方により種々雑多にて、四国地方の犬神いぬがみのごとき、出雲いずも地方の人狐にんこのごとき、信濃しなの地方のオサキのごときは、特にその著しきものなり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「八百八狸も名物だけれど、でも四国にはもっと凄いものが、名物となっている筈だよ。犬神いぬがみだアね、犬神だアね」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
読者は多分四国の犬神いぬがみ、九州の蛇神へびがみの伝説を御承知であろうと思うが、私も実は犬神の家に生れたのである。
犬神 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
小僧こぞう、来い。いまおれのとこのちょうざめの家に下男げなんがなくてこまっているとこだ。ごちそうしてやるから来い。」ったかと思うとタネリはもうしっかり犬神いぬがみ両足りょうあしをつかまれてちょぼんと立ち
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「黒石じゃな、お前に、犬神いぬがみをとりつかせるというとるげなぞ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
つきものとしては東海道特殊のものはないが、まずきつねがつくというのが普通である。しかして、四国の犬神いぬがみ出雲いずも人狐にんこのように家系を有するということは全くない。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「そう、ある土地ではとっつきと云い、あるところでは犬神いぬがみともいいます」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
犬神いぬがみはおかしそうに口をまげてにやにやわらってまた云いました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もし美濃の山間部に入れば、犬神いぬがみ人狐にんこ同様の取りつき病と名づくるものがある。その家は取りつき筋と称して他人これを遠ざけ、結婚することを嫌うことなど、出雲いずもと同様である。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
もうタネリは小さくなっておそれ入っていましたらそらはすっかり明るくなりそのギリヤークの犬神いぬがみは水平線まですっかりせり出し間もなく海に犬の足がちらちらうつりながらこっちの方へやって来たのです。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
第一、狐狸のこと 人狐にんこ犬神いぬがみのこと。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)