父上おとうさま)” の例文
私には昔から如何どういう者かこのうたがいがあるので、始終胸を痛めてるので御座ます、知らして益のない秘密だから父上おとうさまも黙ってお居でになるのでしょうけれど、私は是非それが知りたいので御座います。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
これりの話だよ、たれにもしらしてはなりませんよ。私がだ若い時分、お里の父上おとうさまえんづかない前にある男に言い寄られて執着しゅうねく追いまわされたのだよ。けれども私は如何どうしても其男の心に従わなかったの。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)