爵位しゃくい)” の例文
新政府にし、維新功臣の末班まっぱんに列して爵位しゃくいの高きにり、俸禄ほうろくゆたかなるにやすんじ、得々とくとくとして貴顕きけん栄華えいが新地位しんちいを占めたるは
大唐人、百済人、高麗人、百四十七人に爵位しゃくいを賜うた記事もある。古くからの帰化人や混血人は、家業として学問芸術にたずさわっていた。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あの爵位しゃくいの高い、美しい未亡人に知られて、一躍政治の舞台に上った貧しいジスレイリの生涯なぞが彼の空想を刺戟しげきした頃は
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
坐禅観法ざぜんかんぽうをしまた和歌を作って居りました。」書記官は話頭を転じて「あなたは日本で何の爵位しゃくいがあり何の官職があるか。」「私は何もありませぬ。」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
部下の諸将がつぎつぎに爵位しゃくい封侯ほうこうを得て行くのに、廉潔れんけつな将軍だけは封侯はおろか、終始変わらぬ清貧せいひんに甘んじなければならなかった。最後に彼は大将軍衛青えいせいと衝突した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
お前此罪は破廉恥罪はれんちざいなのだ! 爵位しゃくいも返上を命ぜられるばかりでなく、わしの社会的位置は、滅茶苦茶めちゃくちゃだ! あれ見い! 貴族院第一の硬骨と云われた唐沢が、あのザマだと
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
爵位しゃくいがあるから、貴族だというわけにはいかないんだぜ。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「先ず爵位しゃくいを召し上げられます」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あの爵位しゃくいの高い、美しい未亡人に知られて、一躍政治の舞台に上った貧しいジスレイリの生涯なぞは捨吉の空想を刺戟しげきした。彼は自分でも行く行くは「エンジミオン」を書こうとさえ思った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)