爪弾つめび)” の例文
旧字:爪彈
元気なのは、れ三味線を借りて来て爪弾つめびきをしているし、皮膚の青白いのは、もう夜のものかずいで、壁に向って寝こんでいる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
結婚の話を持ち出すしおを失い、銀子に爪弾つめびきでかせて、歌を一つ二つうたっているうちに時がたって行った。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
寝しずまった巷には、この人恋しい夜にもかかわらず、粋な爪弾つめびき水調子も、聞こえてこない……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
五六人のそうした浪人のいる二階では、富士春が、爪弾つめびきで
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「よその爪弾つめびきなんぞ聞いていると、何だか、故郷心さとごころがついて、気がめいっていけねえや。誰か、つき交ぜた顔で、三人ばかりばないか、飲み直して、からっと笑って帰ろう」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)