だき)” の例文
「別段面白いとは思はないね。いゝお酒を飮ませてくれて、他人が邪魔さへしなければ、關東だきで結構なんだ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
雨気あまけをもった夜風が、向こうの関東だき屋の低い小さな屋根の上のペンペン草を、あるかなきかに揺っていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
例の、夜店の関東だき屋の品であるが、これも、すっかり無くなった。水飴、和砂糖——飴は今でもすきであるが、瓶へ入ったとろとろの飴など、食べられない。
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)
そんな時に足をやすめる場所は、關東だきがおきまりだつた。懷中ふところの都合もあり、カフヱは虫が好かないので、自然と大鍋の前に立つて、蛸の足を噛りながら、こつぷ酒をひつかける事になる。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)