“煮切”の読み方と例文
読み方割合
にえき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けれども、こっちぢゃ煮切にえきらない、というのがね——あの、にはおっかさんがありません。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それと同時に須永すなが従弟いとこと仮定された例の後姿うしろすがたの正体も、ほぼ発端ほったんの入口に当たる浅いところでぱたりと行きとまったのだと思うと、その底にはがゆいようなまた煮切にえきらないような不愉快があった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かろう、翌日あしたにも、と酒のいきおいで云ったものの、用もたたまっていますし、さあ、どうしようか、と受けた杯をよどまして、——四五日経ってからの方が都合はいのだがと、煮切にえきらない。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)