焼酎火しょうちゅうび)” の例文
日本の幽霊は普通とろとろと燃える焼酎火しょうちゅうびの上にふうわりと浮いていて、腰から下が無いことになっているが、有名な円朝えんちょう牡丹燈籠ぼたんどうろうでは
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、ハミ出している胴巻や、めくり返されている襟元などを掻きあわせている間に、かれの両眼、焼酎火しょうちゅうびのような憤怒ふんぬがトロトロと燃えあがった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
らりるれろはほとんど、ろろろろろで、そのまま焼酎火しょうちゅうびが燃えそうなのが、みな女筆だからおもしろい。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やはり鶴屋南北つるやなんぼく以来の焼酎火しょうちゅうびにおいがするようだったら、それは事件そのものに嘘があるせいと云うよりは、むしろ私の申し上げ方が、ポオやホフマンのるいすほど
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
次の部屋は一面の蘭塔婆らんとうば、舞台をぐっと薄暗くして、柳の自然木の下、白張しらはりの提灯の前に、メラメラと焼酎火しょうちゅうびが燃えると、塔婆の蔭から、髪ふり乱して、型のごとき鼠色ねずいろ単衣ひとえを着た若い女が
こういう場合に、はらの底では、焼酎火しょうちゅうびのような怒気をムラムラ燃やしながら、あくまで、ジイと眉間みけんに針をよせて、かッとならないのが孫兵衛の性格である。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)