無慾むよく)” の例文
なほそのおろかなはゝたいしてそゝぎるだらうか? あゝしもさうだとしたならば——? 彼女かのぢよはたゞ子供こどものために無慾むよく無反省むはんせい愛情あいじやうのために
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
うちにはへん奉公人ほうこうにんを置きまして、馬鹿ばかな者を愛して楽しんでゐるといふごく無慾むよくな人でございました。長
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
人は案外無慾むよくで、財宝でもやや不用のものが出来ると、無意味にこれを散じて見たくなるらしいが、ただこの節はそんな場合が、昔に比べて大分少なくなっただけである。
けれども無慾むよくで慈悲心の深い人達ひとたちですから、さうして取つた黄金きんも隣近所の貧乏人なんかに多くは恵みますから、人は皆この二人の年寄をめないものはありませんでした。
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
作は無慾むよくである。仕えるためであって名を成すためではない。丁度労働者が彼らの作る美しき道路に名を記さないのと同じである。作者はどこにも彼の名を書こうとは試みない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)