無中むちゆう)” の例文
独語ひとりごとを言ひ/\、てつきり狸がからかさの上につかゝつてゐるものと思つて、誰でもが唯もう無中むちゆうになつて頭の方ばかり気にする。
らずらずの間に、私の想像力がたくましうして、無中むちゆういうを生じた処も無いには限らない。しかし大体の上から、私はかう云ふことが出来ると信ずる。私の予想は私を欺かなかつた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分が詩作に無中むちゆうになつてゐる時、女中がばたばた足音を立てて入つたからといつて、急に癇癪を起して、インキ壺を投げつけたといふ事だが、フレデリツク大王は
千利休がある時昵懇なじみの女を、数寄屋すきやに呼び込んで内密話ひそひそばなし無中むちゆうになつてゐた事があつた。