激情げきじょう)” の例文
かれの幼時からの性癖せいへきである激情げきじょうをおさえ、向こう見ずの行動に出る危険をまぬがれることができたし、また、かれが日常の瑣事さじに注意を払い
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ほとばしる激情げきじょう! われをわすれて駕籠の戸にすがりつき、僧形の人の手をとると、僧も黙然もくねんとして手をとられ、ゆらりと駕籠のそとに立った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このまま部屋を出ていってやろうかと思ったほどだが、女探偵ともあろうものがと、どうにかこうにか自分の激情げきじょうをおし鎮め、帆村の次なる言葉を待った。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こう思うと、一時の激情げきじょうにかられて、四人を除名じょめいしたことが、深くくいられてならなかった。日ごとの煩悶はんもんはかれの血色のいいほおをあおくした。いつも清くすんだ眼は悲しみにくもった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一般いっぱんに理知よりも激情げきじょうが勝利をしめがちなものだが、とりわけ説得者が大人であり、青年自身の中からその強力な支持者が一人もあらわれない場合
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
仏は、嵐のような激情げきじょうの中に、やっと躯をささえていた。それが、せい一杯だった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)