から)” の例文
一切の「からごころ」をかなぐり捨てて、言挙ことあげということもさらになかった神ながらのいにしえの代に帰れと教えたのが大人うしだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あんずとからめきたる名を呼ばるゝからもゝの花は、八重なる、一重なる、ともに好し。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「半蔵さん、攘夷なんていうことは、君の話によく出る『からごころ』ですよ。外国を夷狄いてきの国と考えてむやみに排斥するのは、やっぱり唐土もろこしから教わったことじゃありませんか。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たとへば肥へて丈高き女の、雪と色白きが如し、眉つき眼つきは好くもあれ悪くもあれ、遠くより見たるに先づ心ひかる。されど此花の姿の、何となくからめきたるは、好かぬ人もあるべし。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
先生には、まだまだ『からごころ』のぬけ切らないところがあるんですね。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)