溝端みぞばた)” の例文
とどの顔も白茶しらちゃけた、影の薄い、衣服前垂きものまえだれ汚目よごれめばかり火影に目立って、すすびた羅漢の、トボンとした、寂しい、濁った形が溝端みぞばたにばらばらと残る。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
溝端みぞばた片陰かたかげに、封袋ふうたいを切って晃乎きらりとする、薬のすずひねくって、伏目に辰吉のたたずんだ容子ようすは、片頬かたほ微笑ほほえみさえ見える。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水鷄くひな鐵棒かなぼうをひくやうに、雨戸あまどもたゝけば、溝端みぞばた突駛つツぱしる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)