湧水わきみず)” の例文
ところどころには湧水わきみずもあり、又みちの砂だってまっ白で平らでしたから耕一は今日も足駄あしだをぬいで傘と一緒いっしょにもって歩いて行きました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と、すぐその榎の根の湧水わきみずに、きように褄を膝に挟んで、うつむけにもならず尋常に二の腕をあらわに挿入さしいれた。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水はごくいい湧水わきみずにかぎる、それも新鮮なところにかぎる、すこし置いたんじゃもうバクテリアが入るからね、空気は高山や森のだけ吸い給え、町のはだめだ。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
小十郎がすぐ下に湧水わきみずのあったのを思い出して少し山を降りかけたらおどろいたことは母親とやっと一歳になるかならないような子熊と二ひきちょうど人が額に手をあてて遠くを
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あれは合理的ごうりてきだと思う。湧水わきみずがないので、あのつつみへけた。こおりがまだどてのかげには浮いているからちょうど摂氏零度せっしれいどぐらいだろう。十二月にどてのひびをめてから水は六分目までたまっていた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)