)” の例文
こは瘴氣しやうきを恐るればなり。亭は皆白壁なれど、いしずゑより簷端のきば迄、緑いろなるかび隙間なく生ひたり。人も家も、べて腐朽の色をあらはして、日暖に草緑なる四邊あたりの景と相容れざるものゝ如し。
過了ギテ残雨けむリ/江上九月尚風多シ/縄枢我ハ擬ス今ノ原子ニ/屋漏誰カ思ハン古ノ魯公ヲ/暮歳期有リテ床下ニ蟋アリ/故人たより無シ水辺ノ鴻/一家ベテいだク悲秋ノ感/貧病相依ル風雨ノうち
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)