淡藍うすあい)” の例文
白い薄衣うすものの単衣襲に淡藍うすあい色の小袿こうちぎらしいものを引きかけて、あかはかまひもの結び目の所までも着物のえりがはだけて胸が出ていた。きわめて行儀のよくないふうである。
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
落日にいろどられて光を呼吸するように見えた雲も、煙のような白と淡藍うすあいとの陰日向を見せて、雲とともに大空の半分を領していた山も、見る見る寒い色に堅くあせて行った。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
見たまえ——お米が外套がいとうを折畳みにして袖に取って、背後うしろに立添った、前踞まえこごみに、辻町は手をその石碑にかけた羽織の、裏のなまめかしい中へ、さし入れた。手首に冴えて淡藍うすあいが映える。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)