浮城うきしろ)” の例文
それでも、泥湖どろうみの中の浮城うきしろは、寄手が近づけば、わっと反撥はんぱつする。死にもの狂いになって戦う。物を食っている兵よりも強いのだ。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他の智識としては馬琴ばきん為永ためながの小説や経国美談、浮城うきしろ物語を愛読し、ルッソーの民約篇とかを多少かじっただけである。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……霞の滝、かくれ沼、浮城うきしろ、ものがたりを聞くのと違って、現在、誰の目にもながめらるる。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はあ、待ちに待ったる新軍艦ホノルル号が突如とつじょニューヨーク沖に現れました。九万九千トンの巨艦ですぞ。いやもう見ただけでびっくりします。全く浮城うきしろとはこのことです。金博士の実力は大したものですねえ」