かいり)” の例文
二十かいりほど南下して、最初に上げた渋網には、蟹がモリモリと網の目に足をひっかけて、かかっていた。たしかに××丸のものだった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
船は八、九百トン、まさに一時間十一、二かいりを走っている。少年らは手に手に銃をとって連発しては、また歓呼かんこの声をあげた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「こっちは艦長だ。どうだ入野いりの一等兵曹、あと三十かいりで飛行島にぶつかる筈だが、西南西にあたって、なにか光は見えぬか」
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『最上』はこの優秀な機関を据えつけたために、その行動力は実に七万五千かいりという、すばらしい世界記録に達したのだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
その時「オイ君の食ってるビフテキは一時間三十かいりで走っているぜ」と教えるのは少々馬鹿げているではないか。
宇宙の二大星流 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その島は、カムチャッカ作戦基地たるペトロパウロスク港から、わずか八十かいりほど離れたところにある、周囲十露里ベスターほどの小さな岩島にすぎないからです。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
渡名喜島は沖縄島を離る、三十かいり、周廻二里八町の弾丸黒子のみ。島人往々食糧に欠乏し蘇鉄の澱粉を製す。
琉球に学ぶべきもの (新字旧仮名) / 志賀重昂(著)
ハワイやタヒチ等の浜辺に鮫を祭る社あって毎度鮫来り餌を受け甚だしきは祠官を負うて二十かいりも游ぎし事エリスの『多島海研究ポリネシアン・レサーチス』四、ワイツおよびウントゲルランド『未開人民史ゲシヒテ・デル・ナチュルフォルケル
遠江とおとうみ御前崎おまえざきへ往ったのは大正十四年の二月二日であった。岬には燈台があって無線電信の設備もあった。その燈台の燈光は六十三万燭で十九かいり半の遠距離に及ぶ回転燈であった。
真紅な帆の帆前船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
沖合四かいりのところに、博光丸がいかりを下ろした。——三浬までロシアの領海なので、それ以内に入ることは出来ない「ことになっていた」。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
現今世界で最大最速の汽船ルシタニア号は去る九月アイルランドのクイーンスタウンよりニューヨークまで二千七百八十二かいりの航路を五昼夜と五十四分間に
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
沙港シヤトルから二千八百かいり、アラスカのダッチハーバーの北十度、北氷洋に近い冷涼たる無人地方ノーマンズランドだ。
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
荒れに荒れた海流が二十かいり以上のはやさで、湾の内へ流れこんでいるではないか。そして水門のあたりには竜巻たつまきのような水煙が、もうもうとしてたちこめているではないか。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
先ず今日乗客船の速いので一時間二十五かいりくらい、かなりに速いと云わねばならぬ。しかし速力を大きくするためには汽缶も沢山にせねばならず、石炭も沢山使う。
汽船の改良 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし、ここで僕らは二百かいりほど西の戦場をふりかえって、清少年の行方を見たい。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)