浪路なみじ)” の例文
平馬は、雪之丞のろわしさのあまり、三斎屋敷の秘事を——浪路なみじ失踪しっそうについて、その一端をらしたものの、さすが、屋敷名を出すことはしなかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ドッチにしてももとが小説だから勝手な臆測が許されるが、左母二郎が浪路なみじを誘拐して駕籠かごを飛ばして来たは大塚から真直ぐに小石川の通りを富坂とみさかへ出て菊坂あたりから板橋街道へ出たものらしい。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
六 帰らぬ浪路なみじに ともよぶ千鳥ちどり
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
浪路なみじ。……」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘の浪路なみじが、この間、会うたとき、江戸初くだりの上方かみがた役者、雪之丞という者の舞台を、是非見たい故、宿下やどさがりの折、連れてまいってくれと申すので、中村座の方へ
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
この問答は、三郎兵衛によって、とりわけ浪路なみじに、聴えよがしにはじめられたのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)