法網ほうもう)” の例文
誤って法網ほうもうれしを、無情にも長く獄窓に坤吟しんぎんせしむる等、現政府の人民に対し、抑圧なる挙動は、実に枚挙まいきょいとまあらず。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
法網ほうもうをくぐるために、酒瓶さかびんの如きも普通のウイスキーの壜に入れ、ただレッテルの上に、玄人くろうとでなければ判らない目印めじるしを入れてある。こうした妖酒ようしゅのあることは君にも判るだろう
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その上、金儲かねもうけの為に、法網ほうもうをくぐることばかり考えている悪者であった。だが、倭文子は畑柳が好きだった。彼が儲けてくれるお金は、畑柳その人よりも、もっと好きだった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一体法網ほうもうくぐるものは、お天道様が罰するはずだけれど、それも片手落な事もあって、北向の家はいつもいつも寒いようでは、あてになったもんじゃない。私が今晩唯今ただいま、貴女を罰してみせましょう。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)