沈静おちつ)” の例文
旧字:沈靜
「すこし沈静おちついたら、今夜は早く御帰りなさい。お定もああして心配していますから、ね、そうなさい」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かならず大切だいじにせい軽挙かるはずみすなとおっしゃるは知れたこと、さあ此衣これを着て家に引っみ、せめて疵口くちのすっかり密着くっつくまで沈静おちついていて下され、とひたすらとどめなだめ慰め
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼はできるだけ心を沈静おちつけて悠然として登って往った。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「叔母さんも、何卒どうぞ叔父さんと御一緒に——母もネ、着きました晩なぞは非常に興奮していまして、こんな調子じゃ困ったもんだなんて、豊世と二人で話しましたが、昨日あたりから大分それでも沈静おちついて来ました——」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)