てまい)” の例文
小「てまいは何んだ、賊だな、音羽が左様のことでわしに無心をいうわけはない、また金はもとより懐中には無いが、寄り附くとゆるさんぞ」
小「これへ参って見ろ、己も眼が悪いから斬られようが、其の代りてまいも殺し、差違って死ぬからう思え」
庄「なに宜く先程は失敬を致したな、一分いちぶん立たんからてまいを殺し、美代吉をも殺害せつがいして切腹いたす心得だ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
庄吉にもてまえにも隠し、てまいたちの居ぬ折に埋めようと思って少しの間しのぎに縁の下へ入れると、絶えず人が来るし、てまいや庄吉が絶えず側にるから、見られては成らぬと思って
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
睡はうつゝ眠はねむるてまいねむってばかり居るから夢に見るのじゃ、敵討の事ばかり思うているから、迷いの眠りじゃ、それを避ける処が仏の説かれたかねていう教えじゃ、元は何も有りはせんものじゃ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)