とこしえ)” の例文
このゆえに私は、きたるべき平和会議の席上に、心より彼を歓迎すると同時に、戦後の経営においても、英国多数の貧民のため、彼の生命のとこしえに長からん事を祈る。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
夜になると、北の海の上はとこしえに物凄うございました。はてしもなく、何方どっちを見まわしても高い波がうねうねとうねっています。そして、岩に砕けては、白い泡が立ち上っています。
赤い蝋燭と人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
十年の後われ遠国えんごくより帰来してたまたま知人をここに訪ふや当時の部屋々々空しく存して当時の人なく当時の妙技当時の芸風また地を払つてなし正に国亡びて山河さんがとこしえにあるの嘆あらしめき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)