水禽すいきん)” の例文
水禽すいきんは概して雄の方が上等の味を持っている。鴨、シギ、オシドリなどそれである。家鴨も雄の味が上等としてある。
季節の味 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
大小無数の水禽すいきんのさざめき、蛇のように、長いくびをくねらして小さなえさをさがしてはついばんでいる駝鳥だちょうおりの外には人間どもが、樹陰こかげのベンチの上に長々と寝そべったり
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
魚類を食物とする鳥は肉が早く腐ります。鳩の肉は長くって鴨の肉が早く腐るのもそれがためでしょう。それに鴨や雁のような水禽すいきんは山にいる鳥よりも胃中へ入って肉の消化が大層悪いものです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
四方金網で張り廻わされた、水禽すいきん小屋に過ぎなかったのだから。
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
時に水禽すいきんの影をるに過ぎぬというようなことであった。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)